27 5月, 2013

iPhoneの怪

先々週知り合ったばかりのAさんのお宅に伺うことになった。iPhoneのアドレスにAさんの住所や電話番号を入れ、iPhoneのナビ機能で経路を確認しながら20分ほどの道のりを駅から歩き始めた。駅から真っすぐの道が高速道路をくぐるような五叉路の交差点にさしかかった。高速の真下が交差点になっているのである。今から渡ろうとしている道の次の道とまたその次の道の間の角に交差点を見据えるように一つの墓石が立っていた。
コンクリート塀を背にしているその墓石は囲いも何もなく、歩道と同じレベルに直置きされた光景は異様な感じがした。墓石には花が添えられていた。私には霊感はないが、高架の下の空気が淀んでいる感じがした。
昼間でも薄暗い高架下の墓石の前を通り過ぎないと目的の道を行くことはできない。回り道をすることまで頭がまわらなかった。左手にiPhoneを持って地図を見ながら、なるべく墓石にフォーカスしないように歩いたが、やっぱり気持ち悪かった。
交差点をあとにしてすぐ公園があったので、休憩がてらベンチに座って水分補給した。再び経路を確認しようと、さっきポケットに入れたばかりのiPhoneを取り出したら、すごく熱を持っていた。あれ〜、と思ったら、画面が真っ黒。電源切った覚えはないし、ポケットに入れていただけなのに…。
さて、困った。行く先の住所は町名までは憶えているが番地までは憶えていない。何度ホームボタンや電源ボタンを押してもウンともスンとも言わない。そして相変わらず、本体が熱い。もしやバッテリーが高熱を発して煙が出るのでは? 爆発したらどうしよう、などとちょっと心配になる。

Aさんから朝方届いたメールには、バスで来るならナントカ小学校前停留所で降りて、って書いてあったよなー、と思い、交番があったのでお巡りさんに聞いてみた。そしたら、ナントカ小学校前停留所は二つあって、小学校名は憶えてないのか、と言う。憶えてないわよー、バスに乗らずに歩いたんだからー。交番で20分くらい地図を見ながら、記憶をたどろうしたが無駄だった。

Aさんの連絡先を知っていそうで、かつNTTの電話番号案内で探り当てられるのは、国立のヒーリングショップの月船さんだけ。それを話したら、お巡りさんは、月船を自分の携帯電話のネットで検索してくれて、月船さんの電話番号だけは教えてくれた。電話は使わせてもらえなかったので、交番から一番近いという八幡さま(神社)の入り口にある電話ボックスへ急いだ。
公衆電話から月船さんに電話してAさんの連絡先を聞いたが、携帯メルアドしか知らない、とのことだったので、「オーバリーの携帯が急にこわれて、お宅の近くで迷子になって八幡さまの電話ボックスにいる」と月船さんからAさんにメールしてもらうようお願いした。5分後くらいにまた月船さんに電話して、Aさんから返信がないかを確かめたが、返事はまだだという。また5分後に電話します、と言い、電話を切って周辺をうろうろしていたら、遠くにAさんらしき人影が見えた。月船さんからのメールを見て、八幡さまあたりを探しに来てくれたのだろう。
Aさんに駆け寄ってiPhoneを見せながら説明しようと彼女に向かってiPhoneを差し出した途端、画面が復帰したのだ。その時、ホームボタンも電源ボタンもさわっていない。
鳥肌が立った。約束の時間から1時間もたっていた。

Aさんは「セージで浄化、浄化…。」と言いながら家に入り、すぐにセージの葉を出して来てくれて、火をつけ煙でiPhoneを浄化してくれた。

これがもし霊的なものの作用だとしたら、何かの理由で私の到着を遅らせるためなのか、ただ邪魔をしたかったのか、謎である。
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霊的障害ではない場合(苦笑)はこちらを参考にしましょう…
●iPhonの電源が入らなくなったときの対処法
参考サイト:http://point-savings.seesaa.net/article/270719725.html

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追記:本当に墓石だったのかと、ふと気になって「高速道路、交差点、墓石、調布」のキーワードでググってみた。あった…。
正確には、墓石ではなく、「道正塚」と彫ってあったらしい。
林望氏の著書『東京珍景録』(新潮文庫)のp172に出てるそうだ。「無縁塚」だった場所を買い取り、塚を壊して家を建てた家に三人もの不幸があったため、供養のために元の場所に塚を再築しようとしたが、すでに平地にしていたので、平地のまま、石を
建てたらしい。元来「塚」だったが、何故か墓石の形にしたとのこと。昭和9年のこと、とある。
う〜む、やっぱり墓石と同じだね。こわ〜い…。